コンテンツにスキップ

手形法第38条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

コンメンタール手形法

条文

[編集]

【支払いのための呈示】

第38条  
  1. 確定日払、日附後定期払又ハ一覧後定期払ノ為替手形ノ所持人ハ支払ヲ為スベキ日又ハ之ニ次グ二取引日内ニ支払ノ為手形ヲ呈示スルコトヲ要ス
  2. 手形交換所ニ於ケル為替手形ノ呈示ハ支払ノ為ノ呈示タル効力ヲ有ス

解説

[編集]
  1. 確定日払、日附後定期払又は一覧後定期払の為替手形の所持人は、支払をする日又はその2取引日内に支払のために手形を呈示しなければならない。
  2. 手形交換所における為替手形の呈示は、支払のための呈示の効力を有する。

参照条文

[編集]

判例

[編集]
  1. 約束手形金請求(最高裁判決 昭和30年02月01日)商法第517条,民法第412条
    手形金請求の支払命令の送達と付遅滞の効力
    裁判上手形金の支払を請求する場合は、手形の呈示を伴わないでも、支払命令の送達により債務者を遅滞に付する効力を生ずる。
  2. 転付金請求(最高裁判決 昭和32年07月19日)民法第468条2項,民法第506条1項
    手形の「依頼返還」の効力
    手形交換所における手形の呈示後、手形振出人の依頼に基きこれをして取引停止処分を免れさせるため、手形持出銀行がその受入銀行から手形のいわゆる「依頼返還」を受けたとしても、そのために一たんなされた手形の呈示および支払拒絶の効力は失われない。
  3. 約束手形金請求(最高裁判決 昭和34年05月29日)
    手形呈示義務免除の効力。
    支払のためにする手形の呈示義務の免除は、口頭でなされたものであつても、なお、免除者とその相手方との間においては、その効力を有すると解すべきである。
  4. 約束手形金請求(最高裁判決 昭和36年07月20日)民法第147条1号,民法第153条,手形法第39条1項
    手形の呈示を伴わない催告による時効中断の効力の有無。
    手形の呈示を伴わない催告には、手形債権の時効を中断する効力がない。
    • 次の判決により判例変更
  5. 約束手形金請求(最高裁判決 昭和38年01月30日)民法第147条1号,民法第153条,手形法第9条1項
    手形の呈示を伴わない催告による時効中断[現・事項完成の猶予]の効力の有無。
    手形の呈示を伴わない催告にも、手形債権の時効を中断する効力がある。
    • 手形は流通証券であるから手形債権につき債務者を遅滞に付するための請求には手形の呈示を伴うことが必要であるが(商法517条、手形法38条、77条1項3号参照)、単に時効中断のための催告については、催告の意義が前記の如き趣旨のものである以上、必ずしも手形の呈示を伴う請求であることを必要としないものと解すべきである。これを取引の実情から言つても単に手形の時効中断のための請求にまで常に債務者に手形を現実に呈示しなければならないとすることは必要以上に手形債権者に不便を強いるものであつて取引の実情に副わないものである。
  6. 為替手形金請求(最高裁判決 昭和42年11月08日)手形法第1条,手形法第4条,商法第516条2項,商法第517条
    為替手形の支払呈示期間経過後に支払場所にした呈示の効力
    為替手形の支払呈示期間経過後における支払のための呈示は、支払地内にある手形の主たる債務者の営業所または住所においてすることを要し、支払場所に呈示しても、手形債務者を遅滞に付する効力を有しない。

前条:
第37条
【満期決定の標準となる暦】
手形法
第6章 支払
次条:
第39条
【受戻証券性・一部支払】
このページ「手形法第38条」は、まだ書きかけです。加筆・訂正など、協力いただける皆様の編集を心からお待ちしております。また、ご意見などがありましたら、お気軽にトークページへどうぞ。