民法第412条

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法学民事法民法コンメンタール民法第3編 債権 (コンメンタール民法)

条文[編集]

(履行期と履行遅滞

第412条
  1. 債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う。
  2. 債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う
  3. 債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。

改正経緯[編集]

2017年改正において、第2項が以下のとおり改正された。

  • (改正前) その期限の到来したことを知った時から
  • (改正後) その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から

解説[編集]

本条は、債務者が履行遅滞に陥る時期を規定している。期限が確定している場合(確定期限)、期限が到来することは確実であるがその期日が不確定な場合(不確定期限)、及び期限の定めのない場合について各々その契機を定める。

  1. 確定期限
    契約中に「◯年◯月◯日までに支払う」と定めていれば、その期日が到来すれば遅滞に陥る。
    例外として、有価証券のうち指図証券、記名式所持人払証券及び無記名証券について、各有価証券の債務者は、その債務の履行について期限の定めがあるときであっても、その期限が到来した後に所持人がその証券を提示してその履行の請求をした時から遅滞の責任を負う。以上は、2017年改正において、第520条の9並びにこれを準用する第520条の18及び第520条の20に定められた。なお、それ以前も商行為における有価証券(指図債権及び無記名債権)の履行遅滞の準則として商法第512条に定められていた(2017年改正で削除)。
  2. 不確定期限
    製造請負契約等で見られる「Aは〜の完成を確認し、その旨をBに通知した後、60日以内に代金をBに支払う」のように、期限の到来は確実であるが期日が不確定であるものについては、2017年改正までは、債務者が「その期限の到来したことを知った時」とされていた。事例の場合は、AがBに完成確認通知を発出したことで期限の基準日を知ったものと推定され、その日から60日を経過しても履行しないと履行遅滞となる。
    しかしながら、期限到来の認知が債務者側の事情のみで決せられると債権者側が不確定要素を抱えるため、期限到来後に履行請求を行えるものとし(改正前であっても認知の機会にはなり得た)、履行請求か期限の到来の認知のいずれか早いものにより遅滞を画することとした。
  3. 期限の定めのない場合
    契約等で履行の期日を定めていない場合、債権者の履行請求(催告)により履行遅滞となる。
    1. 期限の定めのない場合の例として、善意の不当利得者の返還義務があり、催告により履行遅滞となる(大判 昭和2.12.26)。
    2. 金銭貸借を典型とする消費貸借については、第591条に「当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができる。」との定めがある。
    3. 不法行為により生じた損害賠償請求権は、損害発生の時から賠償支払い履行の債務を負うので、催告を要さず、損害発生の時から履行遅滞となる(=損害賠償に未払い利息が発生する。 最判 昭和37.9.4)。

参照条文[編集]

  • 期限
民法第135条(期限の到来の効果)、民法第136条(期限の利益及びその効果)、民法第137条(期限の利益の喪失)
  • 履行遅滞の責任
民法第415条(損害賠償責任)、民法第541条(解除)
  • 履行(弁済)
民法第492条民法第493条(弁済の提供)
  • 第3項の特則
民法第591条(消費貸借)

判例[編集]


前条:
民法第411条
(選択の効力)
民法
第3編 債権

第1章 総則

第2節 債権の効力
次条:
民法第412条の2
(履行不能)


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