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民法第877条

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扶養 から転送)

法学民事法コンメンタール民法第4編 親族 (コンメンタール民法)

条文

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扶養義務者)

第877条
  1. 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
  2. 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
  3. 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。

解説

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ウィキペディア扶養の記事があります。
親族間の扶養の義務について定める。この場合、扶養とは、事実としての生活の扶助等又はそれに要する費用の負担を言う。明治民法第954条の趣旨(扶養の範囲など)を継承。
夫婦を除いて(民法第752条)、扶養義務において順位はつけられていないため、扶養者の連帯による扶養を行い、その負担の分担は扶養者間の協議に委ねられる。協議が整わない場合、家庭裁判所の審判による場合もある。この場合、一応は親等の差などが目安とはなろうが、その他、扶養者の資力等も総合的に判断されることとなる。
1項の直系血族には、離婚等により親権を失った親子を当然に含み(第766条により、「子の監護に要する費用の分担」を定めていたとしても、それを根拠に、扶養を要する子が自らの権利「扶養を受ける権利」を放棄したものではないから(第881条扶養請求権の処分の禁止)、親権者である親の一方が子の扶養を十分に履行しない又は履行できない場合、他方の親に扶養に要する費用を請求できる)、また、兄弟姉妹とは、父母の双方を共通にする全血兄弟姉妹か、父母の一方のみを共通にする半血兄弟姉妹かを問わない。
2項で3親等内の親族の扶養義務を定めるが、直系血族の配偶者[1]、おじおば、甥姪、その各配偶者[1]にまで扶養義務が生ずることになることから、特別の事情と家庭裁判所の審判を必要とした。

参照条文

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判例

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  1. 扶養料立替等請求(最高裁判決 昭和26年02月13日)
    扶養義務者の意に反して扶養権利者を引き取り扶養した他の扶養義務者と扶養費用の負担
    現に扶養をしている扶養義務者の意に反して扶養権利者を引き取つて扶養したという事実だけでは、引き取つた他の扶養義務者が自己のみで扶養費用を負担すべきものとすることはできない。
  2. 損害賠償請求事件(最高裁判決 平成12年9月7日)民法第416条民法第709条
    不法行為によって扶養者が死亡した場合における被扶養者の将来の扶養利益喪失による損害額の算定方法
    • 不法行為によって扶養者が死亡し、当該扶養者に多額の借財があって被扶養者である相続人が相続を放棄した場合に、加害者に対し扶養利益の喪失による損害賠償を請求することができるか、また、その算定基準について。
    不法行為によって扶養者が死亡した場合における被扶養者の将来の扶養利益喪失による損害額は、扶養者の生前の収入、そのうち被扶養者の生計の維持に充てるべき部分、被扶養者各人につき扶養利益として認められるべき比率割合、扶養を要する状態が存続すべき期間などの具体的事情に応じて算定すべきである。
    • 不法行為によって死亡した者の配偶者及び子が右死亡者から扶養を受けていた場合に、加害者は右配偶者等の固有の利益である扶養請求権を侵害したものであるから、右配偶者等は、相続放棄をしたときであっても、加害者に対し、扶養利益の喪失による損害賠償を請求することができる。
    • その扶養利益喪失による損害額は、相続により取得すべき死亡者の逸失利益の額と当然に同じ額となるものではなく、個々の事案において、扶養者の生前の収入、そのうち被扶養者の生計の維持に充てるべき部分、被扶養者各人につき扶養利益として認められるべき比率割合、扶養を要する状態が存続する期間などの具体的事情に応じて適正に算定すべきものである。
  3. 婚姻費用分担申立て却下審判に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件(最高裁決定 令和5年5月17日)民法第760条民法第772条
    婚姻費用分担審判において、夫とその妻が婚姻後に出産し戸籍上夫婦の嫡出子とされている子であって民法772条による嫡出の推定を受けないものとの間の父子関係の存否を審理判断することなく、夫の上記子に対する上記父子関係に基づく扶養義務を認めた原審の判断に違法があるとされた事例
    婚姻費用分担審判において、夫とその妻が婚姻後に出産し戸籍上夫婦の嫡出子とされている子であって民法772条による嫡出の推定を受けないものとの間の父子関係の存否は訴訟において最終的に判断されるべきものであることを理由に、上記父子関係の不存在を確認する旨の判決が確定するまで夫は扶養義務を免れないとして、上記父子関係の存否を審理判断することなく、夫の上記子に対する上記父子関係に基づく扶養義務を認めた原審の判断には、違法がある。

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  1. ^ 1.0 1.1 扶養義務ある直系血族等が亡くなった場合、その配偶者は第728条第2項に定める姻族関係を終了させる意思を表示しないかぎり扶養義務を負う可能性がある。

参考

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明治民法において、本条には親権に関する以下の規定があった。戦後改正による家制度廃止に伴って大きく改正され、民法第818条及び民法第819条に継承された。

  1. 子ハ其家ニ在ル父ノ親権ニ服ス但独立ノ生計ヲ立ツル成年者ハ此限ニ在ラス
  2. 父カ知レサルトキ、死亡シタルトキ、家ヲ去リタルトキ又ハ親権ヲ行フコト能ハサルトキハ家ニ在ル母之ヲ行フ

前条:
民法第876条の10
(補助の事務及び補助人の任務の終了等)
民法
第4編 親族
第7章 扶養
次条:
民法第878条
(扶養の順位)
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