日本国憲法第19条
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条文
[編集]【思想・良心の自由】
- 第19条
- 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
解説
[編集]思想・良心の自由も参照。
参照条文
[編集]判例
[編集]- 雇傭契約解除無効確認俸給支払請求(最高裁判決 昭和27年02月22日)日本国憲法第20条,日本国憲法第21条
- 政治活動をしないことを条件とする雇傭契約と基本的人権の制限
- 憲法で保障されたいわゆる基本的人権も絶対のものではなく、自己の自由意思に基く特別な公法関係または私法関係上の義務によつて制限を受けるものであつて、自己の自由意思により、校内において政治活動をしないことを条件として教員として学校に雇われた場合には、その契約は無効ではない。
- 謝罪広告請求(最高裁判決 昭和31年7月4日)民法第723条, 民訴法733条(現民事執行法第171条)
- 謝罪広告を命ずる判決と強制執行
- 新聞紙に謝罪広告を掲載することを命ずる判決は、その広告の内容が単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明する程度のものにあつては、民訴第733条により代替執行をなし得る。
- 謝罪広告を強制する判決は憲法第19条に反しないか
- 謝罪広告を強制する判決は憲法第19条に反しない。
- 原判決の是認した被上告人の本訴請求は、上告人が判示日時に判示放送、又は新聞紙において公表した客観的事実につき上告人名義を以て被上告人に宛て「右放送及記事は真相に相違しており、貴下の名誉を傷け御迷惑をおかけいたしました。ここに陳謝の意を表します」なる内容のもので、結局上告人をして右公表事実が虚偽且つ不当であつたことを広報機関を通じて発表すべきことを求めるに帰する。されば少くともこの種の謝罪広告を新聞紙に掲載すべきことを命ずる原判決は、上告人に屈辱的若くは苦役的労苦を科し、又は上告人の有する倫理的な意思、良心の自由を侵害することを要求するものとは解せられない。.
- 謝罪広告を強制する判決は憲法第19条に反しない。
- 謝罪広告を命ずる判決と強制執行
- 在留期間更新不許可処分取消(マクリーン事件 最高裁判決 昭和45年06月24日)
- 労働契約関係存在確認請求(三菱樹脂事件 最高裁判決 昭和48年12月12日) 憲法第14条,民法第1条,民法第90条,労働基準法第3条,労働基準法第2章
- 戒告処分取消等,裁決取消請求事件(最高裁判決平成23年6月14日)日本国憲法第15条第2項
- 公立中学校の校長が教諭に対し卒業式又は入学式において国旗掲揚の下で国歌斉唱の際に起立して斉唱することを命じた職務命令が憲法19条に違反しないとされた事例
- 公立中学校の校長が教諭に対し卒業式又は入学式において国旗掲揚の下で国歌斉唱の際に起立して斉唱することを命じた職務命令は,次の1.〜3.など判示の事情の下では,当該教諭の思想及び良心の自由を侵すものとして憲法19条に違反するということはできない。
- 上記の起立斉唱行為は,学校の儀式的行事における慣例上の儀礼的な所作としての性質を有するものであり,我が国において「日の丸」や「君が代」が戦前の軍国主義や国家体制等との関係で果たした役割に関わる当該教諭の歴史観ないし世界観を否定することと不可分に結び付くものではなく,上記職務命令は,直ちにその歴史観ないし世界観それ自体を否定するものとはいえない。
- 上記の起立斉唱行為は,学校の儀式的行事における慣例上の儀礼的な所作として外部からも認識されるものであって,特定の思想又はこれに反する思想の表明として外部から認識されるものと評価することは困難であり,上記職務命令は,当該教諭に特定の思想を持つことを強制したり,これに反する思想を持つことを禁止したりするものではなく,特定の思想の有無について告白することを強要するものともいえない。
- 上記の起立斉唱行為は,国旗及び国歌に対する敬意の表明の要素を含む行為であり,上記1.の歴史観ないし世界観を有する者がこれを求められることはその歴史観ないし世界観に由来する行動と異なる外部的行動を求められることとなる面があるところ,他方,上記職務命令は,中学校教育の目標や卒業式等の儀式的行事の意義,在り方等を定めた関係法令等の諸規定の趣旨に沿って,地方公務員の地位の性質及びその職務の公共性を踏まえ,生徒等への配慮を含め,教育上の行事にふさわしい秩序の確保とともに当該式典の円滑な進行を図るものである。
- (補足意見及び反対意見がある。)
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