民法第724条
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法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
条文[編集]
(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
- 第724条
- 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
- 一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき。
- 二 不法行為の時から20年間行使しないとき。
改正経緯[編集]
2017年改正において、時効制度の整理が図られたことに伴い、以下の条項から改正。
(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
- 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。
解説[編集]
不法行為による損害賠償請求権の発生要件については、民法第709条等を参照。
消滅時効に関する一般規定については、民法第166条、民法第167条を参照。
要件[編集]
「損害及び加害者を知った時」の意義[編集]
時効の起算点を意味している。
損害の了知[編集]
不法行為により損害を受けたことを認識した時点で足り、具体的な損害額を認識した時点であることを要さないと解されている(最判平成14年1月29日民集56-1-218)。
加害者の了知[編集]
加害者の住所氏名を的確に知り、損害賠償請求が事実上可能になった時点であると解されている(最判昭和48年11月16日民集27-10-1374)。
継続的不法行為[編集]
「3年間」の意義[編集]
この「3年間」は、俗に短期消滅時効といわれる。法的性質は民法第166条以下に規定する消滅時効と同じである。この解釈に従えば、中断(民法第147条)があることになる。
「20年」の意義[編集]
この「20年」は、2017年改正前は判例などにより除斥期間を意味すると解されていたが、改正により「消滅時効の完成期間」となった。従って、時効の完成猶予や時効の更新の対象となる。
参照条文[編集]
判例[編集]
- 損害賠償請求(最高裁判決 昭和42年07月18日)
- 損害賠償請求、同附帯控訴(最高裁判決 昭和43年06月27日)民法第147条1号,国家賠償法第1条,国家賠償法第4条
- 損害賠償請求(最高裁判決 昭和44年11月27日)民法第715条
- 損害賠償請求(最高裁判決 昭和45年06月19日)
- 損害賠償請求(最高裁判決 昭和48年11月16日)
- 損害賠償請求(最高裁判決 昭和49年12月17日)民法第167条1項,商法第266条の3第1項
- 損害賠償(最高裁判決 昭和58年11月11日)
- 国家賠償(最高裁判決 平成1年12月21日)
- 損害賠償(最高裁判決 平成6年01月20日)
- 損害賠償(最高裁判決 平成10年06月12日)民法第158条
- 損害賠償請求事件(最高裁判決 平成14年01月29日)
- 損害賠償,民訴法第260条2項による仮執行の原状回復請求事件(最高裁判決 平成16年04月27日)国家賠償法第1条1項,鉱山保安法第1条,鉱山保安法第4条,鉱山保安法(昭和37年法第律第105号による改正前のもの)30条,じん肺法(昭和52年法律第76号による改正前のもの)2条1項1号,石炭鉱山保安規則(昭和61年通商産業省令第74号による改正前のもの)284条の2
- 損害賠償請求事件(最高裁判決 平成17年11月21日)民法第166条1項,商法第798条1項
- 損害賠償請求事件(最高裁判決 平成18年06月16日)
- 損害賠償請求事件(最高裁判決 平成21年04月28日)民法第160条
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