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民法第939条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法民法コンメンタール民法第5編 相続

条文

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相続の放棄の効力)

第939条
相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす

解説

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相続放棄の効果について定める。明治民法第1039条を継承する。
「初めから相続人とならなかったものとみな」されるため、相続放棄した相続人の直系卑属には代襲相続権(民法第887条)は発生しない。また、相続放棄の効果には絶対効があるため、その効果を第三者にも対抗できる。

関連条文

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判例

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  • 第三者異議(最高裁判決 昭和42年1月20日) 民法第177条民法第909条
    相続放棄と登記
    相続の放棄をした相続人の債権者が、相続の放棄後に、相続財産たる未登記の不動産について、相続人も共同相続したものとして、代位による所有権保存登記をしたうえ、持分に対する仮差押登記を経由しても、その仮差押登記は無効である。
  • 詐害行為取消、株金等支払請求(最高裁判決 昭和49年09月20日)民法第424条
    相続の放棄と詐害行為取消権
    相続の放棄は、民法第424条詐害行為取消権行使の対象とならない。
    相続の放棄のような身分行為については、民法第424条の詐害行為取消権行使の対象とならないと解するのが相当である。なんとなれば、右取消権行使の対象となる行為は、積極的に債務者の財産を減少させる行為であることを要し、消極的にその増加を妨げるにすぎないものを包含しないものと解するところ、相続の放棄は、相続人の意思からいつても、また法律上の効果からいつても、これを既得財産を積極的に減少させる行為というよりはむしろ消極的にその増加を妨げる行為にすぎないとみるのが、妥当である。また、相続の放棄のような身分行為については、他人の意思によつてこれを強制すべきでないと解するところ、もし相続の放棄を詐害行為として取り消しうるものとすれば、相続人に対し相続の承認を強制することと同じ結果となり、その不当であることは明らかである。
    (参考)遺産分割協議と詐害行為取消権

参考

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明治民法において、本条には未成年者後見終了時における被後見人による後見人の行為に関する取消権についての以下の規定があった。趣旨は、民法第872条に継承された。

  1. 未成年者カ成年ニ達シタル後後見ノ計算ノ終了前ニ其者ト後見人又ハ其相続人トノ間ニ為シタル契約ハ其者ニ於テ之ヲ取消スコトヲ得其者カ後見人又ハ其相続人ニ対シテ為シタル単独行為亦同シ
  2. 第十九条及ヒ第百二十一条乃至第百二十六条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス

前条:
民法第938条
(相続の放棄の方式)
民法
第5編 相続

第4章 相続の承認及び放棄

第3節 相続の放棄
次条:
民法第940条
(相続の放棄をした者による管理)
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