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民法第1036条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
民法第1139条 から転送)

条文

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(使用貸借及び賃貸借の規定の準用)

第1036条
第597条第1項及び第3項、第600条第613条並びに第616条の2の規定は、配偶者居住権について準用する。

改正経緯

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2018年改正により新設。本条に定められていた以下の条項(明治民法第1139条由来)は、継承条項なく削除された。相続法改正により遺留分が金銭化されたことにより、遺留分権利者は共有持分を取得していないため、果実を取得することができないという構成であるが、それに代えて、金銭債権化された遺留分の遅延損害金の請求ができる

(受贈者による果実の返還)
受贈者は、その返還すべき財産のほか、減殺の請求があった日以後の果実を返還しなければならない。

解説

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規準のあてはめ

  1. 期間満了等による配偶者居住の終了(民法第597条の準用)
    1. 当事者が配偶者居住の期間を定めたときは、その期間が満了することによって終了する。
    2. 配偶者居住は、配偶者の死亡によって終了する。
  2. 損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限(民法第600条の準用)
    1. 配偶者居住の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び配偶者が支出した費用の償還は、居住建物の所有者(以下、「所有者」)が返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。
    2. 上記2.1の損害賠償の請求権については、所有者が返還を受けた時から1年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
  3. 転貸の効果(民法第613条の準用)
    1. 配偶者が適法に居住建物を転貸したときは(第1032条第3項参照)、転借人は、所有者と配偶者との間の配偶者居住に基づく配偶者の債務の範囲を限度として、所有者に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって所有者に対抗することができない。
    2. 上記3.1の規定は、所有者が配偶者に対してその権利を行使することを妨げない。
    3. 配偶者が適法に居住建物を転貸した場合には、所有者は、配偶者との間の配偶者居住を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない。ただし、その解除の当時、所有者が配偶者の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない。
  4. 居住建物の全部滅失等による配偶者居住の終了(民法第616条の2の準用)
    居住建物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、配偶者居住は、これによって終了する。

参照条文

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  • 民法第1041条 - 配偶者短期居住権における使用貸借等の規定の準用

判例

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参考

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  1. 明治民法において、本条には限定承認に関する以下の規定があった。趣旨は、民法第934条に継承された。
    1. 限定承認者カ第千二十九条ニ定メタル公告若クハ催告ヲ為スコトヲ怠リ又ハ同条第一項ノ期間内ニ或債権者若クハ受遺者ニ弁済ヲ為シタルニ因リ他ノ債権者若クハ受遺者ニ弁済ヲ為スコト能ハサルニ至リタルトキハ之ニ因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責ニ任ス第千三十条乃至第千三十三条ノ規定ニ違反シテ弁済ヲ為シタルトキ亦同シ
    2. 前項ノ規定ハ情ヲ知リテ不当ニ弁済ヲ受ケタル債権者又ハ受遺者ニ対スル他ノ債権者又ハ受遺者ノ求償ヲ妨ケス
    3. 第七百二十四条ノ規定ハ前二項ノ場合ニモ亦之ヲ適用ス
  2. 明治民法第1139条
    受贈者ハ其返還スヘキ財産ノ外尚ホ減殺ノ請求アリタル日以後ノ果実ヲ返還スルコトヲ要ス

前条:
民法第1035条
(居住建物の返還等)
民法
第5編 相続
第8章 配偶者の居住の権利
次条:
民法第1037条
(配偶者短期居住権)
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