民法第113条
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法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法)
条文
[編集](無権代理)
- 第113条
- 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
- 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。
解説
[編集]無権代理の効力とその追認(又は拒絶)についての規定である。
参照条文
[編集]判例
[編集]- 家屋明渡請求(最高裁判決 昭和33年06月05日)民法第116条
- 甲を代理して締結された売買契約について乙のなした追認が有効と認められた事例
- 家督相続開始の当時、被相続人の長男甲はすでに戦死しており、法律上、被相続人の長女乙が相続人であるにかかわらず、同人らの母は右戦死の事実を知らず、被相続人の所有に属していた係争不動産を甲において相続したものと考え、甲の代理人としてこれを第三者に売り渡す契約を締結した場合において、後日、真の家督相続人である乙が右売買契約を追認したときは、民法第113条、第116条の類推適用によつて、右契約は、その締結の日に遡つて、乙のため効力を生ずるものと解するを相当とする
- 建物引渡所有権移転登記手続等請求 (最高裁判決 昭和37年04月20日) 民法第117条
- 本人が無権代理人を相続した場合における無権代理人行為の効力
- 本人が無権代理人の家督を相続した場合、被相続人の無権代理行為は、右相続により当然には有効となるものではない。
- 土地所有権移転登記抹消登記手続請求 (最高裁判決 昭和40年06月18日)民法第117条,民法第896条
- 無権代理人が本人を相続した場合における無権代理行為の効力。
- 無権代理人が本人を相続し、本人と代理人との資格が同一人に帰するにいたつた場合には、本人がみずから法律行為をしたのと同様な法律上の地位を生じたものと解するのが相当である。
- 貸金請求 (最高裁判決 昭和48年07月03日) 民法第117条,民法第896条
- 民法117条と無権代理人を相続した本人の責任
- 無権代理人を相続した本人は、無権代理人が民法117条により相手方に債務を負担していたときには、無権代理行為について追認を拒絶できる地位にあつたことを理由として、右債務を免れることができない。
- 保証債務履行 (最高裁判決 昭和62年07月07日)民法第109条、民法第110条、民法第117条
- 民法117条2項にいう「過失」と重大な過失
- 民法117条2項にいう「過失」は、重大な過失に限定されるものではない。
- 無権代理人が民法117条1項所定の責任を免れる事由として表見代理の成立を主張することの許否
- 無権代理人は、民法117条1項所定の責任を免れる事由として、表見代理の成立を主張することはできない。
- 民法117条2項にいう「過失」と重大な過失
- 土地建物所有権移転登記抹消登記、土地所有権移転請求権仮登記抹消登記等(最高裁判決 平成5年01月21日)民法第117条,民法第896条,民法第898条
- 無権代理人が本人を共同相続した場合における無権代理行為の効力
- 無権代理人が本人を共同相続した場合には、共同相続人全員が共同して無権代理行為を追認しない限り、無権代理人の相続分に相当する部分においても、無権代理行為が当然に有効となるものではない。
- 損害賠償 (最高裁判決平成6年9月13日)民法第1条,民法第859条
- 禁治産者の後見人がその就職前に無権代理人によって締結された契約の追認を拒絶することが信義則に反するか否かを判断するにつき考慮すべき要素
- 禁治産者の後見人が、その就職前に禁治産者の無権代理人によって締結された契約の追認を拒絶することが信義則に反するか否かは、
- 契約の締結に至るまでの無権代理人と相手方との交渉経緯及び無権代理人が契約の締結前に相手方との間でした法律行為の内容と性質
- 契約を追認することによって禁治産者が被る経済的不利益と追認を拒絶することによって相手方が被る経済的不利益、
- 契約の締結から後見人が就職するまでの間に契約の履行等をめぐってされた交渉経緯
- 無権代理人と後見人との人的関係及び後見人がその就職前に契約の締結に関与した行為の程度、
- 本人の意思能力について相手方が認識し又は認識し得た事実など諸般の事情を勘案し、契約の追認を拒絶することが取引関係に立つ当事者間の信頼を裏切り、正義の観念に反するような例外的な場合に当たるか否か
- を判断して、決しなければならない。
- 根抵当権設定登記抹消登記手続請求本訴、同反訴(最高裁判決 平成10年07月17日)民法第117条、民法第876条
- 本人が無権代理行為の追認を拒絶した後に無権代理人が本人を相続した場合における無権代理行為の効力
- 本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合には、その後無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効になるものではない。
- 損害賠償請求事件 (最高裁判決 平成16年07月13日)民法第108条
- 普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表して行う契約の締結と民法108条の類推適用
- 普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表して行う契約の締結には,民法108条が類推適用される。
- 普通地方公共団体の議会が長による民法108条に違反する契約締結行為を追認した場合における当該行為の法律効果の帰属
- 普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表するとともに相手方を代理し又は代表して契約を締結した場合において,議会が長による上記行為を追認したときは,民法116条の類推適用により,当該普通地方公共団体に法律効果が帰属する。
- 普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表して行う契約の締結と民法108条の類推適用
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