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民事訴訟法第134条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
訴状 から転送)

法学民事法コンメンタール民事訴訟法

条文

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(訴え提起の方式)

第134条
  1. 訴えの提起は、訴状を裁判所に提出してしなければならない。
  2. 訴状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
    1.  当事者及び法定代理人
    2.  請求の趣旨及び原因

改正経緯

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2022年改正

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「住所、氏名等の秘匿制度」の創設に伴い、第133条に定められていた「訴え提起の方式」を本条に繰り下げ、第134条に定められていた「証書真否確認の訴え」を第134条の2とした。

旧法

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  • 第223条〔訴え提起の方式〕
    訴ノ提起ハ訴状ヲ裁判所ニ提出シテ之ヲ為スコトヲ要ス
  • 第224条〔訴状の記載事項〕
    1. 訴状ニハ当事者、法定代理人並請求ノ趣旨及原因ヲ記載スルコトヲ要ス
    2. 準備書面ニ関スル規定ハ訴状ニ之ヲ準用ス

解説

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ウィキペディア訴状の記事があります。

訴えの提起は、原告が、被告との関係において、一定の権利の存否を主張し、当該権利主張の当否について、審理し判決することを裁判所に要求する行為である。

訴えが訴訟要件を具備していれば、裁判所は、当該請求の当否について審議し判決する事になるから、請求は、訴訟の対象であるということができ、その意味から訴訟物や訴訟対象と呼ばれる。

そして、原告の権利主張を理由なしとするときは、判決主文において「原告の請求を棄却する」と判示するのが実務慣行であり、逆に権利主張理由ありとして、原告の求めたとおりの内容の判決をするときは、講学上「原告の請求を認容する」というが、これらの場合も、請求の概念は判決の要求の意味に用いられている。

訴状には、本条2項に掲げる事項、すなわち、当事者、法定代理人、請求の趣旨及び原因を記載しなければならない。そして、事実についての主張を記載するには、できる限り、請求を理由付ける事実についての主張と、当該事実に関する事実についての主張とを区別して記載することが必要である(規則第53条第2項)。すなわち訴状であるためには、これらを必ず明確に記載しなければならず、訴状に不備がみうけられ、裁判長が訴状の記載について必要な補正を促す場合には、補正命令を裁判所書記官に命じて行わせることができる(規則第56条)。この場合において、原告が注意すべきこととして、原告が不備を命じられたのにもかかわらず補正しないときは、裁判長は、命令で、訴状を却下しなければならない(第137条第2項)と規定されており、原告の請求は不適法として却下される。

なお、訴状には、原告が訴訟救助(第82条)を許与された場合を除き、民事訴訟費用等に関する法律の定める訴額に応じた申立手数料を納付するため、手数料額だけ収入印紙を貼付し、作成者である原告又はその代理人において署名押印(規則第2条第1項)することを必要とする。本人訴訟の場合において、1つの訴えで、複数の訴えがある場合において、訴額が不明な場合は、訴えを提起しようとしている管轄の裁判所書記官に問い合わせると教示してもらえる。

訴訟物理論

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ウィキペディア訴訟物の記事があります。
訴訟物理論が機能するとされる局面
  1. 既判力の客観的範囲
  2. 重複訴訟の禁止
    • 第142条(重複する訴えの提起の禁止)
  3. 訴えの変更
  4. 訴えの併合

参照条文

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判例

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  1. 慰籍料並に名誉回復請求(最高裁判決 昭和31年7月20日)民法44条(現・一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第78条),民法709条民法723条
    法人に対する民法第44条に基く請求と同法第715条に基く請求との訴訟物の異同
    法人に対する民法第44条に基く損害賠償の請求と同法第715条に基く損害賠償の請求とは、訴訟物を異にする。
    • 民法44条による法人の責任と同715条による法人の責任とは、発生要件を異にし法律上別個のものと解すべき。

前条:
第133条の4
(秘匿決定の取消し等)
民事訴訟法
第2編 第一審の訴訟手続
第1章 訴え
次条:
第134条の2
(証書真否確認の訴え)
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