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民法第494条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法コンメンタール民法第3編 債権 (コンメンタール民法)

条文

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供託

第494条
  1. 弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のために弁済の目的物を供託することができる。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。
    1. 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき。
    2. 債権者が弁済を受領することができないとき。
  2. 弁済者が債権者を確知することができないときも、前項と同様とする。ただし、弁済者に過失があるときは、この限りでない。

改正経緯

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2017年改正で、以下の条文より改正。趣旨の変更はない(なお、「弁済者」の初出が民法第480条となったことに伴い、文言が微修正されている)。

債権者が弁済の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、弁済をすることができる者(以下この目において「弁済者」という。)は、債権者のために弁済の目的物を供託してその債務を免れることができる。弁済者が過失なく債権者を確知することができないときも、同様とする。

解説

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弁済供託の要件を3つあげている。

  1. 債権者の弁済受領拒絶(本条第1項第1号)
  2. 債権者の受領不能(本条第1項第2号)
  3. 債権者不確知(本条第2項)

参照条文

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債権の消滅原因
弁済(民法第473条, 民法第492条
弁済以外 代物弁済(民法第482条
供託(民法第494条
相殺(民法第505条
更改(民法第513条
免除(民法第519条
混同(民法第520条
時効(民法第166条

判例

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  1. 不当利得返還 (最高裁判決 平成1年10月27日)民法第304条民法第372条
    抵当権の物上代位と抵当不動産について供託された賃料の還付請求権
    抵当不動産が賃貸された場合においては、抵当権者は、民法372条、304条の規定の趣旨に従い、賃借人が供託した賃料の還付請求権についても抵当権を行使することができる。
  2. 所有権移転登記手続請求(最高裁判決 昭和44年05月30日)
    債務の一部ずつの弁済供託が債務全額に達した場合と供託の効力
    債務の一部ずつの弁済供託がなされた場合であつても、各供託金の合計額が債務全額に達したときは、その全額について有効な供託があつたものと解するのが相当である。
  3. 建物収去土地明渡請求(最高裁判決 昭和50年11月20日)
    本人のためにすることを示さないでした代理人による弁済供託と民法100条但書の適用
    供託者が、債務者の代理人としてする意思で、本人のためにすることを表示することなく、債権者を被供託者として弁済供託をした場合、被供託者において本人のためにされたものであることを知り又は知りうべきであつたときは、右弁済供託は債務者より債権者に対するものとしての効力を有する。

前条:
民法第493条
(弁済の提供の方法)
民法
第3編 債権

第1章 総則
第6節 債権の消滅

第1款 弁済
次条:
民法第495条
(供託の方法)
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