日本国憲法第31条
(憲法第31条 から転送)
条文[編集]
【法定手続の補償】
- 第31条
- 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
解説[編集]
参照条文[編集]
判例[編集]
- 臨時物資需給調整法違反(最高裁判決 昭和26年2月27日)日本国憲法第73条
- 農林省令第27号附則所定の「…規則廃止前にした行為に対する罰則の適用については…なお従前の例による」とした規則の趣旨と憲法第31条・第73条第6号
- 所論昭和25年3月27日農林省令第27号附則の趣旨は加工水産物配給規則廃止前に行われた違反行為に対しては同規則廃止後も廃止前に行われた違反行為の罰則に関する範囲においては、これを廃止しない趣旨であつて、一旦廃止して更に罰則を設けるという趣旨でない故所論違憲論は前提を欠き採用できない。
- 強盗殺人、死体遺棄等(最高裁判決 昭和31年12月25日)
- 無期懲役刑の合憲性
- 無期懲役刑は憲法第13条・第31条に違反しない。
- 昭和23年最高裁大法廷判決により、死刑すら「残虐な刑罰」とされていないのであるから、無期懲役を残虐な刑罰ということはできない。
- 大阪市条例第六八号違反(最高裁判決 昭和37年5月30日)日本国憲法第73条
- 憲法第31条の趣旨―刑罰はすべて法律そのもので定めなければならないか
- 憲法31条はかならずしも刑罰がすべて法律そのもので定められなければならないとするものでなく、法律の授権によつてそれ以下の法令によつて定めることもできると解すべきで、このことは憲法73条6号但書によつても明らかである。
- 地方自治法第14条第5項およびこれに基づく昭和25年大阪市条例第68号第2条第1項の合憲性
- 地方自治法第14条第5項およびこれに基づく昭和25年大阪市条例第68号「街路等における売春勧誘行為等の取締条例」第2条第1項は、憲法第31条に違反しない。
- 憲法第31条の趣旨―刑罰はすべて法律そのもので定めなければならないか
- 道路交通法違反(最高裁判決 昭和39年9月18日)日本国憲法第73条
- 犯罪の構成要件はすべて法律そのもので定められなければならないか。
- 犯罪の構成要件は、すべて法律そのもので定められなければならないものではなく、法律の授権によつて、その一部を公安委員会規則によつて定めることもできることは、当裁判所の判例(昭和27年(あ)第4533号同33年7月9日大法廷判決、刑集12巻11号2407頁・昭和31年(あ)第4289号同37年5月30日大法廷判決、裁判集142巻847頁)の趣旨とするところである。
- 第三者所有物没収事件(最高裁大法廷判決 昭和37年11月28日 2件)日本国憲法第29条
- 旧関税法第83条第1項/関税法第118条第1項により第三者の所有物を没収することは、、憲法第31条、第29条に違反するか
- 旧関税法第83条第1項/関税法第118条第1項の規定により第三者の所有物を没収することは、憲法第31条、第29条に違反する。
- 第三者の所有物を没収する場合において、その没収に関して当該所有者に対し、何ら告知、弁解、防禦の機会を与えることなく、その所有権を奪うことは、著しく不合理であつて、憲法の容認しないところである。
- 旧関税法第83条第1項/関税法第118条第1項の規定により第三者の所有物を没収することは、憲法第31条、第29条に違反する。
- 第三者所有物の没収の違憲を理由として上告することができるか
- 前項の場合、没収に言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であつても、これを違憲であるとして上告をすることができる。
- かかる没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であつても、被告人に対する附加刑である以上、没収の裁判の違憲を理由として上告をなしうることは、当然である。のみならず、被告人としても没収に係る物の占有権を剥奪され、またはこれが使用、収益をなしえない状態におかれ、更には所有権を剥奪された第三者から賠償請求権等を行使される危険に曝される等、利害関係を有することが明らかであるから、上告によりこれが救済を求めることができるものと解すべき。
- 前項の場合、没収に言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であつても、これを違憲であるとして上告をすることができる。
- 旧関税法第83条第1項/関税法第118条第1項により第三者の所有物を没収することは、、憲法第31条、第29条に違反するか
- 職業安定法違反(全農林警職法事件 最高裁判決 昭和48年4月25日 刑集12巻7号1351頁)憲法28条、憲法18条、憲法21条、国家公務員法(昭和40年法律第69号による改正前のもの)98条5項、110条1項17号
- 国家公務員法98条5項、110条1項17号の合憲性
- 国家公務員法98条5項、110条1項17号は憲法28条に、国家公務員法110条1項17号は憲法18条、21条、31条に違反しない。
- 国家公務員法110条1項17号にいう「あおり」および「企て」の意義
- 国家公務員法110条1項17号にいう「あおり」とは、同法98条5項前段に規定する違法行為を実行させる目的をもつて、他人に対し、その行為を実行する決意を生じさせるような、または、すでに生じている決意を助長させるような勢いのある刺激を与えることをいい、「企て」とは、右違法行為を共謀し、そそのかし、または、あおる行為の遂行を計画準備することであつて、違法行為発生の危険性が具体的に生じたと認めうる状態に達したものをいう。
- 国家公務員法98条5項、110条1項17号の法意
- 国家公務員法98条5項、110条1項17号は、公務員の争議行為のうち同法によつて違法とされるものとされないものとを区別し、さらに違法とされる争議行為についても違法性の強いものと弱いものとを区別したうえ、刑事制裁を科さるのはそのうち違法性の強い争議行為に限るものとし、あるいは、あおり行為等につき、争議行為の企画、共謀、説得、慫慂、指令等を争議行為にいわゆる通常随伴するものとして争議行為自体と同一視し、これを刑事制裁の対象から除くものとする趣旨ではない。
- 政治的目的のための争議行為と憲法28条
- 私企業の労働者であると、公務員を含むその他の勤労者であるとを問わず、使用者に対する経済的地位の向上の要請とは直接関係のない警察官職務執行法の改正に対する反対のような政治的目的のために争議行為を行なうことは、憲法28条とは無関係なものである。
- 国家公務員法98条5項、110条1項17号の合憲性
- 集団行進及び集団示威運動に関する徳島市条例違反、道路交通法違反(徳島市公安条例事件 最高裁判決 昭和50年9月10日) 昭和27年徳島市条例3号(集団行進及び集団示威運動に関する条例 ;以下「集団行進等に関する徳島県条例」と記す)3条3号,集団行進等に関する徳島県条例5条, 道路交通法77条1項4号,道路交通法77条3項,道路交通法119条1項13号,徳島県道路交通施行細則(昭和47年徳島県公安委員会規則1号による改正前のもの)11条3号,
- 刑罰法規があいまい不明確のゆえに憲法31条に違反するかどうかの判断基準
- 刑罰法規があいまい不明確のゆえに憲法31条に違反するかどうかは、通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめるような基準が読みとれるかどうかによってこれを決定すべきである。
- 集団行進等に関する徳島県条例3条3号の「交通秩序を維持すること」の意義とその犯罪構成要件としての明確性
- 集団行進等に関する徳島県条例3条3号が、集団行進等についての遵守事項の一として「交通秩序を維持すること」を掲げているのは、道路における集団行進等が一般的に秩序正しく平穏に行われる場合にこれに随伴する交通秩序阻害の程度を超えた、殊更な交通秩序の阻害をもたらすような行為を避止すべきことを命じているものと解され、このように解釈した場合、右規定は右条例5条の犯罪構成要件の内容をなすものとして憲法31条に違反するような不明確性を有するものではない。
- 刑罰法規があいまい不明確のゆえに憲法31条に違反するかどうかの判断基準
- 現住建造物等放火未遂、火炎びん使用等の処罰に関する法律違反、傷害、爆発物取締罰則違反、非現住建造物等放火(最高裁判決 昭和53年10月20日)
- 爆発物取締罰則に関する違憲主張が排斥された事例
- 所論は、憲法31条、59条1項、73条6項、98条1項違反をいうが、爆発物取締罰則が現行憲法施行後の今日においてもなお法律としての効力を保有しているものであることは、当裁判所の判例とするところであり(昭和23年(れ)第1140号同24年4月6日大法廷判決・刑集3巻4号456頁、昭和32年(あ)第309号同34年7月3日第二小法廷判決・刑集13巻7号1075頁、昭和46年(あ)第2179号同47年3月9日第一小法廷判決・刑集26巻2号151頁参照)、所論は理由がない。
|
|