民法第33条
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法学>民事法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法)
条文
[編集](法人の成立等)
- 第33条
- 法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない。
- 学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益を目的とする法人、営利事業を営むことを目的とする法人その他の法人の設立、組織、運営及び管理については、この法律その他の法律の定めるところによる。
解説
[編集]権利能力なき社団
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法人格否認の法理
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参照条文
[編集]判例
[編集]- 建物収去土地明渡請求(最高裁判決 昭和39年10月15日) 民事訴訟法第46条
- 法人に非ざる社団の成立要件。
- 法人に非ざる社団が成立するためには、団体としての組織をそなえ、多数決の原則が行なわれ、構成員の変更にかかわらず団体が存続し、その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理等団体としての主要な点が確定していることを要する。
- 法人に非ざる社団の資産の帰属。
- 法人に非ざる社団がその名においてその代表者により取得した資産は、構成員に総有的に帰属するものと解すべきである。
- 法人に非ざる社団の成立要件。
- 建物明渡請求 (最高裁判決 昭和44年2月27日)商法第52条、商法第504条
- 法人格否認の法理
- 社団法人において、法人格がまつたくの形骸にすぎない場合またはそれが法律の適用を回避するために濫用される場合には、その法人格を否認することができる。
- およそ社団法人において法人とその構成員たる社員とが法律上別個の人格であることはいうまでもなく、このことは社員が一人である場合でも同様である。しかし、およそ法人格の付与は社会的に存在する団体についてその価値を評価してなされる立法政策によるものであつて、これを権利主体として表現せしめるに値すると認めるときに、法的技術に基づいて行なわれるものなのである。従つて、法人格が全くの形骸にすぎない場合、またはそれが法律の適用を回避するために濫用されるが如き場合においては、法人格を認めることは、法人格なるものの本来の目的に照らして許すべからざるものというべきであり、法人格を否認すべきことが要請される場合を生じるのである。
- 社団法人において、法人格がまつたくの形骸にすぎない場合またはそれが法律の適用を回避するために濫用される場合には、その法人格を否認することができる。
- 実質が個人企業と認められる株式会社における取引の効果の帰属
- 株式会社の実質がまつたく個人企業と認められる場合には、これと取引をした相手方は、会社名義でされた取引についても、これを背後にある実体たる個人の行為と認めて、その責任を追求することができ、また、個人名義でされた取引についても、商法504条によらないで、直ちにこれを会社の行為と認めることができる。
- 株式会社は準則主義によつて容易に設立され得、かつ、いわゆる一人会社すら可能であるため、株式会社形態がいわば単なる藁人形に過ぎず、会社即個人であり、個人則会社であつて、その実質が全く個人企業と認められるが如き場合を生じるのであつて、このような場合、これと取引する相手方としては、その取引がはたして会社としてなされたか、または個人としてなされたか判然しないことすら多く、相手方の保護を必要とするのである。ここにおいて次のことが認められる。すなわち、このような場合、会社という法的形態の背後に存在する実体たる個人に迫る必要を生じるときは、会社名義でなされた取引であつても、相手方は会社という法人格を否認して恰も法人格のないと同様、その取引をば背後者たる個人の行為であると認めて、その責任を追求することを得、そして、また、個人名義でなされた行為であつても、相手方は敢て商法504条を俟つまでもなく、直ちにその行為を会社の行為であると認め得るのである。けだし、このように解しなければ、個人が株式会社形態を利用することによつて、いわれなく相手方の利益が害される虞があるからである。
- 株式会社の実質がまつたく個人企業と認められる場合には、これと取引をした相手方は、会社名義でされた取引についても、これを背後にある実体たる個人の行為と認めて、その責任を追求することができ、また、個人名義でされた取引についても、商法504条によらないで、直ちにこれを会社の行為と認めることができる。
- 法人格否認の法理
- 売掛金等請求 (最高裁判決 昭和48年10月09日)民法第427条、第675条、民事訴訟法第46条
- 権利能力のない社団の取引上の債務と社団構成員の責任
- 権利能力のない社団の代表者が社団の名においてした取引上の債務は、社団の構成員全員に一個の義務として総有的に帰属し、社団の総有財産だけがその責任財産となり、構成員各自は、取引の相手方に対し個人的債務ないし責任を負わない。
- 所有権確認等 (最高裁判決 平成6年05月31日)民法第263条、民事訴訟法第45条、第46条、第58条
- 総有権確認請求訴訟において入会団体が原告適格を有する場合
- 入会権者である村落住民が入会団体を形成し、それが権利能力のない社団に当たる場合には、右入会団体は、構成員全員の総有に属する不動産についての総有権確認請求訴訟の原告適格を有する。
- 権利能力のない社団である入会団体の代表者が総有権確認請求訴訟を原告の代表者として追行する場合における特別の授権の要否
- 権利能力のない社団である入会団体の代表者が構成員全員の総有に属する不動産について総有権確認請求訴訟を原告の代表者として追行するには、右入会団体の規約等において右不動産を処分するのに必要とされる総会の議決等の手続による授権を要する。
- 権利能力のない社団である入会団体の代表者でない構成員が総有不動産についての登記手続請求訴訟の原告適格を有する場合
- 権利能力のない社団である入会団体において、規約等に定められた手続により、構成員全員の総有に属する不動産について代表者でない構成員甲を登記名義人とすることとされた場合には、甲は、右不動産についての登記手続請求訴訟の原告適格を有する。
- 総有権確認請求訴訟において入会団体が原告適格を有する場合
- 執行文付与(最高裁判決 昭和53年09月14日)商法第52条,商法第428条,民訴法第521条
- 新会社の設立につき旧会社の債務の支払を免れることを目的とするなどの事情が存する場合において旧会社に対する債務名義につき新会社に対する強制執行のため執行文付与を命ずることができないとされた事例
- 新会社の設立について旧会社の負担する債務の支払を免れることを目的とするなど判示の事情が存する場合においても、旧会社と新会社を同一の法人格と解し、又は法人格否認の法理に基づいて、旧会社に対する債務名義につき新会社に対する強制執行のため執行文の付与を命ずることはできない。
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