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刑事訴訟法第40条

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法学コンメンタールコンメンタール刑事訴訟法=コンメンタール刑事訴訟法/改訂

条文

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(弁護人の書類・証拠物の閲覧謄写権)

第40条
  1. 弁護人は、公訴の提起後は、裁判所において、訴訟に関する書類及び証拠物を閲覧し、且つ謄写することができる。但し、証拠物を謄写するについては、裁判長の許可を受けなければならない。
  2. 前項の規定にかかわらず、第157条の6第4項に規定する記録媒体は、謄写することができない。

改正経緯

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2016年改正にて、参照元の条数が繰り下がったことに伴う改正。

解説

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参照条文

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判例

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  1. 賍物故買、賍物牙保、賍物寄蔵、窃盗等(最高裁判決 昭和25年10月31日)刑法62条,旧刑訴法360条2項(現.刑事訴訟法第335条に相当[1]),旧刑訴法60条(現.刑事訴訟法第48条に相当),旧刑訴法74条(署名捺印にかえ代書等を認めたもの),旧刑訴法349条3項(現.刑事訴訟法第293条に相当),旧刑訴法40条17号,旧刑訴法64条
    1. 従犯の地位にあつた旨の主張と法律上刑の減免の原由たる事実上の主張
      論旨は原審認定の被告人の犯行について被告人は原審に於て従記の地位にあつたことを主張しているのであるからこれは旧刑事訴訟第360条第2項に所謂法律上刑の減免の原由たる事実上の主張に当るにも拘らず原判決は何らこれに対する判断を示していないのは判断遺脱の違法があると主張するが、所論の様な陳述があつたとしてもこれをて刑の減免の原由たる事実の主張があつたのとは認められない。
    2. 被告人に対する最終陳述の機会の附与と「別にありません」を「別にあります」とした調書記載の誤記の認定
      原審裁判長は被告人に意見及び最後い述べたいことはないかと問を発していることは所論の通りであるから被告人に対し最終陳述の機会を与えたものと言わなければならない。もしも、裁判長の発した右問に対し被告人が別に陳述する必要があつたなら其機会を与えられたのであるから陳述すべき筈であるに何も陳述した形跡はなく又裁判長が被告人の発言を禁じた形跡もない等に右「別にあります」の調書記載は「別にありません」の誤記と認むるを相当とする。調書の粗雑な点は誠に遺憾であるが何れも誤記と認められる。
    3. 公判調書における弁護人の姓の誤記たることの認定
      被告人Aの弁護人選任届其他本件記録を調べて見ると山下弁護人が原審における被告人Aの弁護人であり同人の為め弁論したことは明らかであつて岡田弁護人が被告人Aの弁護人であるとは認められないから所論岡田弁護人とあるは山下弁護人の誤記と認めるを相当とする。
  2. 窃盜未遂(最高裁判決 昭和34年6月30日)刑訴法49条,刑訴規則50条
    被告人は公判調書以外の公判記録を閲覧する権利を有しないか。
    被告人本人には、公判調書以外の公判記録を閲覧する権利はない。
  3. 証拠書類等閲覧に関する裁判長の命令に対し検察官のした異議棄却決定に対する特別抗告(最高裁決定 昭和34年12月26日)刑訴法49条,刑訴法299条1項,刑訴法300条,刑訴規則178条の3,刑訴規則193条
    裁判所は検察官所持の証拠を予め被告人または弁護人に閲覧させるよう命令することができるか。
    現行刑事訴訟法規のもとで、裁判所が検察官に対し、その所持する証拠書類または証拠物を、検察官において公判で取調べを請求すると否とにかかわりなく、予め、被告人または弁護人に閲覧させるように命令することはできない。
  4. 道路交通取締法違反(最高裁決定 昭和37年11月8日)刑訴法49条,刑訴法405条
    記録の謄写を上告審が許さなかつたことを不服とする上告理由の適否。
    所論は、違憲をいうが、当庁で記録の謄写が許されなかつたことに対し不服を申立てるに過ぎず、原判決に対する攻撃とは認められないから上告適法の理由に当らない。
    • 註.上告論旨は、被告人(弁護人なし)は上告趣意書を作成するため記録の謄写を求めたが許されなかつた。公判調書の閲覧だけでは上告趣意書の作成は不可能である。弁護人には謄写権を認めながら、被告人本人にはこれを認めないのは、実質上、上訴権を奪うことになるとして憲法14条、32条違反を主張した。
  5. 訴訟記録閲覧につきなした抗告棄却決定に対する特別抗告の申立(最高裁決定 昭和39年2月5日)刑訴法53条1項,刑訴法53条3項,刑訴法49条
    訴訟記録の閲覧拒否と刑訴法第53条第1項の解釈、適用の適否。
    1. 訴訟記録の閲覧、謄写に関する法条の解釈、適用について原決定の示す判断は相当である。
    2. (原決定の判断の要旨)刑訴法第53条第1項の被告事件の終結後とは、被告事件の確定後の趣旨に解すべきであつて、申立人の被告事件は第一審の裁判宣告後申立人から控訴があり、未確定なので、右第53条の場合に該当しない。従つて申立人が右第53条に基づいてその訴訟記録の閲覧を要求することはできない。もつとも被告人は刑訴法第49条により、弁護人がないときは、公判調書は閲覧することができ、申立人が主張する日時当時は申立人に弁護人がなかつたので、申立人自身が被告人の資格において公判調書の閲覧をなし得るわけであるが、これは公判調書のみの閲覧であり、訴訟記録全部の閲覧権まではない。もちろん記録の謄写は許されないから訴訟記録全部の閲覧拒否を刑訴法第53条の違反とする本件抗告理由はない。
  6. 業務上過失傷害(最高裁判決 昭和45年9月24日)刑訴法388条憲法32条憲法37条
    1. 刑訴法40条の合憲性
      被告人が刑訴法40条に準拠して書類、証拠物の閲覧謄写ができないとしても、これは立法政策の問題であつて、右規定が憲法32条、37条に違反するものでないことは、当裁判所の判例(昭和22年(れ)第171号同23年5月5日大法廷判決刑集2巻5号447頁昭和23年(れ)第281号同25年2月1日大法廷判決刑集4巻2号88頁昭和23年(れ)第512号同24年3月23日大法廷判決刑集3巻3号352頁)の趣旨に徴して明らかである。
    2. 刑訴法388条の合憲性
      被告人が刑訴法388条により控訴審では弁論能力を制限されているとしても、これは立法政策の問題であつて、右規定が憲法32条、37条に違反するものでないことは、当裁判所の判例(昭和22年(れ)第171号同23年5月5日大法廷判決刑集2巻5号447頁昭和23年(れ)第281号同25年2月1日大法廷判決刑集4巻2号88頁昭和23年(れ)第512号同24年3月23日大法廷判決刑集3巻3号352頁)の趣旨に徴して明らかである。
  7. 勾留理由開示の期日調書の謄写を許可しないとの裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件(最高裁判決 平成17年10月24日)刑訴法280条1項,3項,刑訴法309条2項,刑訴法429条1項2号,刑訴規則86条
    公訴提起後第1回公判期日前に弁護人が申請した起訴前の勾留理由開示の期日調書の謄写を許可しなかった裁判官の処分に対する不服申立て
    公訴提起後第1回公判期日前に弁護人が申請した起訴前の勾留理由開示の期日調書の謄写について裁判官が刑訴法40条1項に準じて行った不許可処分に対しては,同法429条1項2号による準抗告を申し立てることはできず,同法309条2項により異議を申し立てることができる。

脚注

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  1. ^ 法律上犯罪ノ成立ヲ阻却スヘキ原由又ハ刑ノ加重減免ノ原由タル事實上ノ主張アリタルトキハ之ニ對スル判斷ヲ示スヘシ

前条:
第39条
(接見交通権)
刑事訴訟法
第1編 総則
第4章 弁護及び補佐
次条:
第41条
(弁護人の独立行為権)
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