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民法第957条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
民法第1057条 から転送)

条文

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(相続債権者及び受遺者に対する弁済

第957条
  1. 第952条第2項の公告があったときは、相続財産の清算人は、全ての相続債権者及び受遺者に対し、2箇月以上の期間を定めて、その期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、同項の規定により相続人が権利を主張すべき期間として家庭裁判所が公告した期間内に満了するものでなければならない 。
  2. 第927条第2項から第4項まで及び第928条から第935条まで(第932条ただし書を除く。)の規定は、前項の場合について準用する。

改正経緯

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2021年改正

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2021年改正により、第1項が以下の条項より改正。

  1. 第952条第2項の公告があった後2箇月以内に相続人のあることが明らかにならなかったときは、相続財産の管理人は、遅滞なく、すべての相続債権者及び受遺者に対し、一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、2箇月を下ることができない。

2006年改正

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2006年(平成18年)改正により、民法第79条が削除されたため、かつての民法第79条の規定内容が民法第927条に規定されることとなった。それにあわせ、本条の第2項の準用対象となる条文が「民法第79条」から「民法第927条」に変更されている。

解説

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相続人の存在が明らかにならなかったときは、相続財産の清算手続に入ることになる。
一定の期間が公告される意味は、期間内に現れなかった相続債権者及び受遺者を弁済対象から除外するためである(第2項前段)。弁済手続は、限定承認手続に準じて行われることになる(第2項後段)。

参照条文

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準用条項

参考文献

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  • 『民法(9)相続(第4版増補版)』(有斐閣双書)(有斐閣、2000年)175頁-186頁(久貴忠彦執筆部分)
  • 『民法Ⅴ(第2版補訂版)』(Sシリーズ)(有斐閣、2000年)172頁-174頁(伊藤昌司執筆部分)

参考

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  1. 明治民法において、本条には扶養の順位に関する以下の規定があった。民法第878条に吸収された。
    1. 扶養ヲ受クル権利ヲ有スル者数人アル場合ニ於テ扶養義務者ノ資力カ其全員ヲ扶養スルニ足ラサルトキハ扶養義務者ハ左ノ順序ニ従ヒ扶養ヲ為スコトヲ要ス
      1. 直系尊属
      2. 直系卑属
      3. 配偶者
      4. 第九百五十四条第二項ニ掲ケタル者
      5. 兄弟姉妹
      6. 前五号ニ掲ケタル者ニ非サル家族
    2. 第九百五十五条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
  2. 明治民法第1057条
    1. 第千五十二条第二項ニ定メタル公告アリタル後二个月内ニ相続人アルコト分明ナルニ至ラサルトキハ管理人ハ遅滞ナク一切ノ相続債権者及ヒ受遺者ニ対シ一定ノ期間内ニ其請求ノ申出ヲ為スヘキ旨ヲ公告スルコトヲ要ス但其期間ハ二个月ヲ下ルコトヲ得ス
    2. 第七十九条第二項、第三項及ヒ第千三十条乃至第千三十七条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス但第千三十四条但書ノ規定ハ此限ニ在ラス

前条:
民法第956条
(相続財産の管理人の代理権の消滅)
民法
第5編 相続
第6章 相続人の不存在
次条:
民法第958条
(権利を主張する者がない場合)
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