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会社法第399条の13

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法商法コンメンタール会社法第2編 株式会社第2編第4章 機関会社法第399条の13

条文

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監査等委員会設置会社の取締役会の権限)

第399条の13
  1. 監査等委員会設置会社の取締役会は、第362条の規定にかかわらず、次に掲げる職務を行う。
    1. 次に掲げる事項その他監査等委員会設置会社の業務執行の決定
      イ 経営の基本方針
      ロ 監査等委員会の職務の執行のため必要なものとして法務省令で定める事項
      ハ 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
    2. 取締役の職務の執行の監督
    3. 代表取締役の選定及び解職
  2. 監査等委員会設置会社の取締役会は、前項第1号イからハまでに掲げる事項を決定しなければならない。
  3. 監査等委員会設置会社の取締役会は、取締役(監査等委員である取締役を除く。)の中から代表取締役を選定しなければならない。
  4. 監査等委員会設置会社の取締役会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない。
    1. 重要な財産の処分及び譲受け
    2. 多額の借財
    3. 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
    4. 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
    5. 第676条第1号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
    6. 第426条第1項の規定による定款の定めに基づく第423条第1項の責任の免除
  5. 前項の規定にかかわらず、監査等委員会設置会社の取締役の過半数が社外取締役である場合には、当該監査等委員会設置会社の取締役会は、その決議によって、重要な業務執行の決定を取締役に委任することができる。ただし、次に掲げる事項については、この限りでない。
    1. 第136条又は第137条第1項の決定及び第140条第4項の規定による指定
    2. 第165条第3項において読み替えて適用する第156条第1項各号に掲げる事項の決定
    3. 第262条又は第263条第1項の決定
    4. 第298条第1項各号に掲げる事項の決定
    5. 株主総会に提出する議案(会計監査人の選任及び解任並びに会計監査人を再任しないことに関するものを除く。)の内容の決定
    6. 第348条の2第1項の規定による委託
    7. 第361条第7項の規定による同項の事項の決定
    8. 第365条第1項において読み替えて適用する第356条第1項の承認
    9. 第366条第1項ただし書の規定による取締役会を招集する取締役の決定
    10. 第399条の7第1項第1号の規定による監査等委員会設置会社を代表する者の決定
    11. 前項第6号に掲げる事項
    12. 補償契約(第430条の2第1項に規定する補償契約をいう。第416条第4項第14号において同じ。)の内容の決定
    13. 役員等賠償責任保険契約(第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険契約をいう。第416条第4項第15号において同じ。)の内容の決定
    14. 第436条第3項、第441条第3項及び第444条第5項の承認
    15. 第454条第5項において読み替えて適用する同条第1項の規定により定めなければならないとされる事項の決定
    16. 第467条第1項各号に掲げる行為に係る契約(当該監査等委員会設置会社の株主総会の決議による承認を要しないものを除く。)の内容の決定
    17. 合併契約(当該監査等委員会設置会社の株主総会の決議による承認を要しないものを除く。)の内容の決定
    18. 吸収分割契約(当該監査等委員会設置会社の株主総会の決議による承認を要しないものを除く。)の内容の決定
    19. 新設分割計画(当該監査等委員会設置会社の株主総会の決議による承認を要しないものを除く。)の内容の決定
    20. 株式交換契約(当該監査等委員会設置会社の株主総会の決議による承認を要しないものを除く。)の内容の決定
    21. 株式移転計画の内容の決定
    22. 株式交付計画(当該監査等委員会設置会社の株主総会の決議による承認を要しないものを除く。)の内容の決定
  6. 前二項の規定にかかわらず、監査等委員会設置会社は、取締役会の決議によって重要な業務執行(前項各号に掲げる事項を除く。)の決定の全部又は一部を取締役に委任することができる旨を定款で定めることができる。

改正経緯

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2019年改正により以下のとおり改正。

  1. 第5項
    1. 第6号及び第7号を新設挿入。
    2. 旧第6号から旧第9号までの番数を、第8号から旧第11号までに繰り下げ。
    3. 第12号及び第13号を新設挿入。
    4. 旧第10号から旧第17号までの番数を、第14号から旧第21号までに繰り下げ。
    5. 第22号を新設挿入。

解説

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2014年改正における「監査等委員会」制度創設にあたって新設。
第4項 業務執行のうち重要な業務執行として、取締役(一般には代表取締役を指す)に委任ができない事項
  1. 重要な財産の処分及び譲受け(第1号)
  2. 多額の借財(第2号)
  3. 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任(第3号)
  4. 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止(第4号)
  5. 社債募集に関する重要な事項(会社法第676条等)として法務省令で定める事項(第5号)
  6. 定款の定めに基づく取締役の責任(会社法第423条第1項)の免除(会社法第426条第1項)(第6号)
第5項 第4項にかかわらず、取締役の過半数が社外取締役である場合には、取締役会の決議によって、重要な業務執行の決定を取締役に委任できるが、それも制限される事項
  1. 譲渡制限株式の譲渡承認請求時の対応(第1号)
    会社法第136条(株主からの承認の請求)
    会社法第137条(株式取得者からの承認の請求)
    会社法第140条(株式会社又は指定買取人による買取り)
  2. 自己株式の市場取引等による買付け(第2号)
    会社法第165条(市場取引等による株式の取得)
    会社法第156条(株式の取得に関する事項の決定)
  3. 譲渡制限付き新株予約権の譲渡承認請求時の対応(第3号)
    会社法第262条(新株予約権者からの承認の請求)
    会社法第263条(新株予約権取得者からの承認の請求)
  4. 株主総会招集の決定(会社法第298条)(第4号)
  5. 株主総会に提出する議案の内容の決定(第5号)
  6. 会社と執行役の間の利益相反取引に関する会社業務の執行の社外取締役への委託(会社法第348条の2第2項)(第6号)
  7. 取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針に関する事項の決定(会社法第361条第7項)(第7号)
  8. 会社と取締役との間の競業又は利益相反取引等の承認等(第8号)
    会社法第365条(競業及び取締役会設置会社との取引等の制限)
    会社法第356条(競業及び利益相反取引の制限)
  9. 取締役会招集権者の決定(会社法第366条)(第9号)
  10. 会社と取締役との間の訴えにおける会社の代表の選任(会社法第399条の7)(第10号)
  11. 定款の定めに基づく取締役の責任(会社法第423条第1項)の免除(会社法第426条第1項)(第11号)-前項第6号
  12. 会社法第430条の2に定める補償契約の内容の決定(第12号)
  13. 会社法第430条の3に定める役員等賠償責任保険契約の内容の決定(第13号)
  14. 計算書類等の承認(第14号)
    第436条(計算書類等の監査等)
    第441条(臨時計算書類)
    第444条(連結計算書類)
  15. 剰余金配当に関する事項の決定(会社法第454条)(第15号)
  16. 事業譲渡等の承認等(会社法第467条)(第16号)
  17. 株主総会の決議による承認を要しない合併契約の内容の決定(第17号)
  18. 株主総会の決議による承認を要しない吸収分割契約の内容の決定(第18号)
  19. 株主総会の決議による承認を要しない新設分割計画の内容の決定(第19号)
  20. 株主総会の決議による承認を要しない株式交換契約の内容の決定(第20号)
  21. 株式移転計画の内容の決定(第21号)
  22. 株主総会の決議による承認を要しない株式交付計画の内容の決定(第22号)

関連条文

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前条:
会社法第399条の12
(監査等委員会への報告の省略)
会社法
第2編 株式会社

第4章 機関

第9節の2 監査等委員会
次条:
会社法第399条の14
(監査等委員会による取締役会の招集)
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