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不動産登記法第16条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法不動産登記法コンメンタール不動産登記法

条文

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(当事者の申請又は嘱託による登記)

第16条
  1. 登記は、法令に別段の定めがある場合を除き、当事者の申請又は官庁若しくは公署の嘱託がなければ、することができない。
  2. 第2条第十四号第5条第6条第三項第10条及びこの章(この条、第27条第28条第32条第34条第35条第41条第43条から第46条まで、第51条第五項及び第六項、第53条第二項第56条第58条第1項及び第4項、第59条第一号、第三号から第六号まで及び第八号、第66条第67条第71条第73条第1項第二号から第四号まで、第2項及び第3項、第76条第78条から第86条まで、第88条第90条から第92条まで、第94条第95条第1項、第96条第97条第98条第2項、第101条第102条第106条第108条第112条第114条から第117条まで並びに第118条第2項、第五項及び第六項を除く。)の規定は、官庁又は公署の嘱託による登記の手続について準用する。

解説

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本条の趣旨

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本条は、当事者申請主義及び嘱託について定めたものである。

登記は原則として当事者の申請によりされるが、官公署の嘱託によりされる場合と、登記官の職権によりされる場合がある。

上記のいずれにもよらない登記について、例えば登記官が誤って抵当権の登記を抹消した場合、その抹消は無効であるとする判例がある(大判明治35年11月24日民録8-10-139)。

嘱託登記

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嘱託登記ができる又は義務付けられている場合で、不動産登記法に定めがあるものは以下のとおりである。

職権による登記

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登記官が職権によりできる登記で、不動産登記法に定めがあるものは以下のとおりである。

  • 表示に関する登記(不動産登記法第28条
  • 土地の分筆又は合筆の登記で、一定の場合(同法第39条第2項・第3項)
  • 土地の分筆に伴う権利の消滅の登記で、一定の場合(同法第40条
  • 区分建物に関する敷地権について表題部に最初に登記をするときの、当該敷地権の目的たる土地の登記記録中の所有権等の権利が敷地権である旨の登記(同法第46条
  • 共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記を抹消するときの、当該建物の表題部所有者の登記又は権利に関する登記の抹消登記(同法第58条第4項
  • 権利に関する登記に錯誤又は遺漏があるときで、それが登記官の過誤による場合で、かつ利害関係を有する第三者の承諾がある場合の、当該登記を更正する登記(同法第67条第2項
  • 権利に関する登記につき、不動産登記法第25条の却下事由の内、登記記録に矛盾が生じることとなる事由があることを発見したときで、一定の手続を経た後の、当該登記を抹消する登記(同法第71条第4項)
  • 不動産登記法第74条第1項第2号及び第3号の者からの申請により、表題登記がない不動産について所有権の保存の登記をする場合の、当該不動産の表示に関する登記で不動産登記規則第157条で定めるもの(同法第75条
  • 所有権の登記がない不動産につき所有権の処分の制限の登記をする場合の、所有権の保存の登記(同法第76条第2項
  • 承役地に地役権の設定の登記をした場合の、要役地に対する不動産登記規則第159条第1項で定める事項の登記(同法第80条第4項
  • 抵当証券の交付の登記(同法第94条第1項)及び抵当証券の作成の登記で一定の場合(同法第94条第2項)
  • 信託に関する登記で、一定のもの(同法第101条
  • 所有権に関する仮登記に基づく本登記をするときで、登記上の利害関係を有する第三者の承諾がある場合の、当該第三者の権利に関する登記を抹消する登記(同法第109条第2項
  • 処分禁止の登記に後れる登記を抹消する場合の、当該処分禁止の登記を抹消する登記(同法第111条第3項
  • 保全仮登記に基づく本登記をする場合の、当該保全仮登記とともにした処分禁止の登記を抹消する登記(同法第114条
  • 収用による登記をする場合で、一定のもの(同法第118条第4項ないし第6項)

参照条文

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判例

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  1. 根抵当権設定登記抹消登記手続請求(最高裁判決 昭和41年11月18日)民法第110条,不動産登記法第25条(申請主義 現・本条),不動産登記法第26条(申請方法 現・不動産登記法第18条他),不動産登記法第35条(登記申請に要する書面 現・不動産登記法第18条他)
    1. 登記申請行為と表見代理
      登記申請行為自体には、表見代理に関する民法の規定の適用はない。
    2. 偽造文書による登記の効力
      偽造文書によつて登記がされた場合でも、その登記の記載が実体的法律関係に符合し、かつ、登記義務者において登記申請を拒むことができる特段の事情がなく、登記権利者において当該登記申請が適法であると信ずるにつき正当の事由があるときは、登記義務者は右登記の無効を主張することができない。

参考文献

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  • 香川保一 「新不動産登記法逐条解説(89)」『登記研究』717号、テイハン、2007年、24頁-30頁

前条:
不動産登記法第15条
(法務省令への委任)
不動産登記法
第4章 登記手続
第1節 総則
次条:
不動産登記法第17条
(代理権の不消滅)
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