民法第555条
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法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
条文[編集]
(売買)
- 第555条
- 売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
解説[編集]
売買契約の要件と効果について定めている。
要件[編集]
契約は法律行為であるから、総則の意思表示の規定が適用される。 すなわち、効果が発生するには以下の要件を満たす必要がある。
- 成立要件
- 申込みと承諾(521条~528条)
- 売買契約は諾成契約であるので、意思表示の合致のみで成立する。
- 売買契約は不要式契約であるので、書面の作成は必須でない。口頭の合意でも成立する。
- 有効要件
- 効果帰属要件
- 効果発生要件
効果[編集]
発生する債務[編集]
- 双務契約
- 売買契約は双務契約であり、売主と買主の双方に債務が発生する。
- 売主
- 売主には財産権移転義務が発生する。動産であれば目的物引渡義務、不動産の場合はこれに加えて登記移転義務が発生する。なお、通説は売買契約と同時に所有権移転を目的とする契約が成立すると解する。
- また、他人の物の売買も契約としては有効に成立する(560条)。
- 買主
- 買主には代金支払義務が発生する。
- 同時履行
- 売主の財産権移転義務と買主の代金支払義務は、特約のない限り、同時履行の関係に立つと推定される(573条)。
売主の担保責任[編集]
売買契約においては、売主は完全な状態で目的物を引渡す義務を負っていると解される。このため、目的物に瑕疵があった場合の担保責任に関する規定が置かれている。561条以下を参照。
参照条文[編集]
- 第560条(他人の権利の売買における売主の義務)
- 第561条(他人の権利の売買における売主の担保責任)
- 第563条(権利の一部が他人に属する場合における売主の担保責任)
- 第565条(数量の不足又は物の一部滅失の場合における売主の担保責任)
- 第566条(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
- 第567条(抵当権等がある場合における売主の担保責任)
- 第570条(売主の瑕疵担保責任)
- 第571条(売主の担保責任と同時履行)
- 第573条(代金の支払期限)
- 第574条(代金の支払場所)
- 第575条(果実の帰属及び代金の利息の支払)
判例[編集]
- 第三者異議(最高裁判決 昭和40年11月19日) 民法第176条,民法第560条
- 貸金請求(最高裁判決 昭和44年11月4日) 民法第388条,民法第249条,土地区画整理法第99条,土地区画整理法第85条,土地区画整理法第98条
- 建物収去土地明渡(最高裁判決 昭和57年6月17日)民法第206条, 民法第249条, 民法第252条
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